カナダで一発! | デカくて悪いか!!                 --- Let's Go Feisty!      

カナダで一発!

「ちょっくらカナダに一発やってもらいにいってきますわ」

そういって陸から海からカナダに乗り込む人々が増えている最近のシアトル。今年は、全米でFLU(インフルエンザ)の SHOT(予防注射)が足りないんだってさ。
ここいらじゃ(きっとほかのアメリカの町でも)通年、秋になるとスーパーの店頭なんかで
「どう、お客さん一発うってかない?」
と肉や魚やトイレットペーパーなんかを抱えた買い物客に注射をすすめるおばちゃんが出回る。学校の予防接種もずる休みを決行しからだを傷つけずに生きてきたわたくし。なのになにをいまさら好んで金払って痛い思いをしてたまるか!
とこの8年間のアメリカ暮らしの間、注射売りのおばちゃんに、あっかんべーをかましてきたのでございますが今年は、心をいれかえ、一発やっていただこうと腹を(腕を?)くくっておりました。

なんたって去年のクリスマス、このわたくしの頑強な体をもインフルエンザは犯してくれた。41度の高熱に3日3晩ぶったおれ、シャンパンもワインもブランデーもグラッパも泡盛もおあずけのみじめなクリスマスを過ごしたのであった。
酒の飲めないクリスマスなんて!
今年のホリデーシーズンは暴飲暴食しまくるぞ!
そのためならファイト一発!
と拳に力をいれて、「注射針を受け入れてやろうじゃないの!」と決心したのに今年はどこにいっても注射勧誘ばばあが見当たらない!
ばばあよ、いずこへ!とおたずねしてたらインフルエンザ予防注射業界大手の製薬会社がへまこいて認可されなくってアメリカ中で注射不足で今年は街角FLU SHOTは中止なんだそうな。

ああ、こりゃ大変。
アメリカ人は注射してもらえないと不治の病でいっちまうかのごとくあせっております。
「今年の冬は握手しないのがエチケット」とFLU感染阻止運動がもりあがっております。
そしてみな「おねがいだー一発うってくれよー!」と腕をまくってへろへろとFLU SHOT禁断症状が出ております。
どうするアメリカ!FLUとどう戦うのか!と心配してたら出てきた出てきた!いかがわしいビジネスが!

名づけて、「カナダで一発!」ツアー。

おとなりのカナダにはFLU SHOTがたんまりありあまっているそうな。
そこで国境を越えカナダへ注射してもらいにいくという日帰りツアーが大人気。
とくにウエストコースト最北のワシントン州からははカナダはすぐそこ。
毎日ぞくぞくと人々は国境をこえて一発やりにいっているのだ。

電車にのっていると車掌の「次は、カナダ、カナダ、FLU SHOTご希望のお客様は腕まくっておまちくださーい」とアナウンスがあり(たぶん)すると車中をナースが注射を手にもってやってきて(本当)ブスブスと打ちまくってくれるのだそうだ。寒いは雨だはで観光客が減りだしたこの季節、カナダはうししうししと注射ビジネスでもうけているのだ。

カナダで一発!日帰りツアー(Byフェリー)105ドル也。

うーん、どうしましょ。
100ドルもあればマクドナルドでダブルチーズバーガーが100個買える。ビールだって5ケース買える。
すし屋でとろ食いまくって日本酒あびまくっても100ドルでおつりがくる。
(シアトルの寿司は安くてうまいのだ)

インフルエンザ予防か、
「とろ、とろ、日本酒お代わり!あんきももね」をとるか、
ああ、ここが人生の分かれ道…

毎日ウイスキーでうがいして、ウオッカにオレンジジュースをたらしてビタミンCを補えば健康体でいられるに違いない…

わたしは、FLU SHOT以外のFLU SHUT(防止って意味ね)技を模索しながら気合でFLUと戦っていこうと思うのであった。
(だって、やっぱり「とろ」でしょ「とろ」!)